「プラスチック・フリー」、これは近年のバリ島を席巻するムーヴメント。日本でも「ノープラ」「脱プラスチック」「プラなし」などと呼ばれ、プラスチックをなるべく使用しない動きがあると思いますが、この熱帯の小さな島では、より多くの商業施設や個人がノープラスチック・ポリシーを実践し、健康的なライフスタイルへの志向も強まっています。
皆さんがご存知かどうか、フラワーアレンジメントで多用されるフローラルフォームの問題があります。日本では、オアシスといったほうがわかりやすいでしょうか。あのグリーンの吸水性の高いブロックのような塊です。
切り花のアレンジメントの型を作り、お花への水分補給をするのに広く使われるものですが、まだまだその原材料、成分を明らかにしない製造元が多いようです。中には発癌性成分を含んだものもあり、それを長期間に渡り身近に扱うフローリストの健康を危険にさらすという報告もあります。
何よりも明らかなことは、フローラルフォームが生物分解性のないものであるということ。長年かけてマイクロプラスチックとなり、地球上に暮らす生き物、エコシステムに重大な影響を及ぼす、ということです。
南国の激しい日差しの下、限られた時間で大きなオペーレーションを要求されるウェディング・イベントに際し、このフローラル・フォームは私達にとっても長年、なくてはならない便利な味方でした。
今、誰も経験したことのないパンデミック、ビジネスのスローダウン(というよりビジネスが成り立たない!)の状況にあって、 便利さ、効率の良さ、最大公約の幸福と限りない成長を追い求めてきた私達について、これからのビジネスモデルについて、よりサステイナブル(持続可能)なアプローチについて、改めて考えるべきと強く感じています。
便利さに寄りかかって深く考えてこなかったけれど、フラワーアレンジメントのためのカタチをつくるなら、剣山であったり、再利用可能な鳥かごだって使えます。水分補給のためには、小枝、コケ、あるいはココナッツの繊維を使ったりもできる。花草木を最高に輝かせ、そして一緒に土に返してあげる脇役の可能性は無限なのです。
大切なことは、便利じゃないこの方法を使う意味を、このテクニックを使う大切さを、すべてのチームメンバーと共有し、毎日のオペレーションに生かし、続けること。
私達の旅はまだ始まったばかり。でも、いつかは通らなければいけない道、だとしたら今が「その時」なのでしょう。